「申し訳ございません」2002.3.14
 言ってはならない一言を思わず口にしてしまった経験はありますか?はっきりいって俺はあります。今でもその光景は脳裏に焼き付いています。 高校時代、合唱コンクールという学校行事があったのだが、俺はそれに対して燃えに燃えまくった。球技大会以外であんなに燃えたのは初めてである。卒業後は音楽の道へ進むことを決めていたせいもあって、率先してその行事に取り組んだ。
 まず選曲のホームルームに於いて、一応多数決という形をとったのだが1984年のクリスマスチャリティー曲、BAND AID(絆創膏じゃないよ)の「Do They Know It's Christmas?」をほとんど勝手に選ばせて貰った。譜面がないということで俺が勝手に書かせて貰った。バス、テノール、アルト、ソプラノ、そしてピアノ譜。その譜面を元に練習していくのだ。燃えないわけにはいかない。音楽知識的にはまだ幼かった俺は、女性の声域を考慮することを忘れて軽く指摘を受けたが、現場で的確に処理をしていった(つもり)。
 放課後、クラスメイトに残って貰って何度も練習した。最初はやる気のない人もいてバラバラであったが、合唱がまとまりだしてくると気持ちも同じようにまとまり、雰囲気が凄く良くなっていった。テープに録音した自分たちの声を、BAND AIDと間違えた奴が出るほど素晴らしいものになっていった。
 でもそこはやはり人間社会。色んな人がいます。男が少なかったクラスだったので、一人一人が大きな声を出さないと全体のアンサンブルとしてバランスがとれない。燃えに燃えすぎていた俺は個々人の性格等を無視し始めていた。声を出さない奴=駄目な奴。という図式が頭に生まれてしまったのだ。
 クラスの中で、ほとんど喋らないどちらかといえば暗い方面に属する男がいた。俺は自分なりにみんなを鼓舞してきたつもりだが、彼は何度言っても大きな声を出してくれなかった。大人の今ならば、彼は彼なりに一生懸命努力していることがわかっただろうに、そこは18才の俺。人としての精神が出来ていない。練習終了後、彼に一言「俺、親だったら絶対こういうふうには育てない!」と吐き捨ててしまったのだ。俺は何様じゃ?彼ひとりのことならいざ知らず、親まで侮辱してしまった。「お前の母さんデベソ!」レベルを遙かに超えた暴言。彼はそれに対して何の言葉も発せず教室を後にした。
 ・・・申し訳ございません。若気の至りとはいえ人を大いに傷つけてしまった。自分がその立場だったらどういう気持ちになったであろう?人の気持ちを理解しようともしなかったあの頃。「自分自分!」で生きまくっていた思春期(軽く今も)。この後悔を心に刻んで出来るだけ人に優しくなれるように精進いたします。